【法人設立】税理士に早期相談するメリットとは?
法人設立時には、費用を抑えたいという理由から、税理士に依頼しない方が多くいます。
しかし、半年経過後や決算期に相談に訪れる方が大半です。
早期に相談されていれば、様々な利点があったはずです。
法人設立初期には疑問が多いため、税理士への相談を推奨しますが、特に注意が必要な点があります。
設立手続きを適切に行うことは重要ですが、それ以外にも配慮すべき事項が存在します。
1. 法人設立に必要な書類
法人設立時に役所へ提出が必要な書類の一部を以下にまとめました。
法人設立届出書
- 提出先: 税務署、都道府県、市区町村
- 提出期限: 設立の日から2ヶ月以内
- 内容: 法人の設立を届け出る
青色申告の承認申請書
- 提出先: 税務署
- 提出期限: 原則として設立の日から3ヶ月以内
- 内容: 青色申告の承認を受ける
- 備考: 遅れると第1期は白色申告となり、各種特例を適用できないため注意が必要です。
給与支払事務所等の開設届出
- 提出先: 税務署
- 提出期限: 原則として設立の日から1ヶ月以内
- 内容: 給与支払事務所の開設を届け出る
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請
- 提出先: 税務署
- 提出時期: 任意(提出日翌月から適用)
- 内容: 源泉所得税の納付を年2回に変更
その他、労働保険や社会保険関係の書類も提出が必要です。
社労士にお任せすることも多いものの、年金事務所やハローワークに赴き対応することなどで対応もできます。
本業がお忙しい方などは、社労士などの専門家に任せてしまう方が、気持ち的には楽かもしれません。
2. 経営判断に重要な決算期を決める
決算期の設定は重要な経営判断の一つです。
多くの法人が「3月」「12月」「設立から1年後」という一般的な期日を選択していますが、必ずしもその時期が最適とは限りません。
経営者としては、会社の繁忙期や閑散期を踏まえた上で、資金計画や決算対策がしやすい決算期を検討するべきです。
理想的には上半期が繁忙期で下半期が閑散期となる期日が望ましいでしょう。
また、3月や12月決算は税理士事務所が多忙期に当たるため、十分な対応が受けられない可能性があります。
会社の実態に合わせて、メリット・デメリットを勘案し、最適な決算期を設定することが肝心です。
3. 役員報酬は慎重に決めましょう
役員報酬は慎重に検討し、適切な水準に設定する必要があります。
一度決定すると、原則として1年間は変更ができません。
報酬を低く設定し過ぎると、役員の生活費が不足してしまう可能性があります。
一方で高く過ぎると、会社の資金繰りに影響が出たり、赤字決算につながるリスクがあります。
役員報酬は会社の収支状況と役員の生活水準を踏まえ、バランスの取れた金額を決める必要があります。
短期的な視点だけでなく、中長期的な経営計画も考慮し、慎重に判断することが求められます。
4. 財務の綿密な計画が不可欠
資金繰りは創業時に非常に重要な課題であり、適切な資金計画を立てることが肝心です。
自己資金のみで事業を始めるのか、あるいは外部からの融資を受けるのか
融資を選択する場合、その金額をどう設定するか
また、事業運営に必要な運転資金の水準はどの程度か
このように、様々な財務上の選択肢をシミュレーションし、慎重に検討する必要があります。
起業は、ほとんどの人にとって初めての経験です。
資金計画が不十分であれば、後に追加融資を求めざるを得なくなる可能性があります。
そうなれば、創業時よりも厳しい条件が課されたり、融資自体が認められなくなったりする恐れがあり、事業継続に支障をきたす恐れがあります。
このように、財務面での入念な準備が何よりも重要なのです。
5. 適正価格の慎重な検討
適切な価格設定は、収益確保や顧客獲得、ひいては事業の存続にかかわる重大な決定となります。
商品やサービスの価格設定は、経営における最重要課題の一つです。
設定価格と販売数量から得られる収入が、事業運営に伴う経費をまかなえるかどうかが問われます。
また、提供する価値に見合った適正価格であるかどうかが、消費者の購買行動を左右します。
つまり、価格設定の是非が、企業の収益力や存続可能性を決定付けるのです。
需要の変動や競合状況、コスト構造など、さまざまな要因を勘案する必要があり、これには相当の熟慮と努力を要します。
経営判断として、値決めは極めて重要な意味を持つのです。
6. 企業活動と私的活動の厳格な分離
個人事業から法人化した場合など、個人の口座や資金を法人のものと混同して利用してしまうケースがあります。
また、個人的な経費を法人経費と扱うなど、公私の区別がつかない状況に陥る経営者も少なくありません。
しかし、このような公私混同は経営上絶対に避けるべきです。
法令違反に問われるだけでなく、従業員、金融機関、取引先など、あらゆるステークホルダーから信頼を失います。
協力者を失えば、事業の継続自体が危うくなるからです。
企業は利益追求を目的とする経済組織です。
起業した以上、個人的な活動とは完全に切り離し、企業活動に徹底して専念することが不可欠なのです。
公私の峻別は、健全な経営の大前提であることをお忘れなく。
7. まとめ
起業期の税務は専門家への事前相談が肝要創業期には、法人設立の手続き、確定申告、資金計画、経理処理など、税務関連で専門家へ相談したい事項が山積みになります。
しかし、税理士事務所によっては、提供サービスや料金体系の情報が不明確で、利用を渋る方も少なくありません。
そこで重要なのは、「事前に」税理士と直接面談し、疑問点を詳しく質すことです。
サポート内容や報酬額がわかれば、不安を解消でき、適切な事務所を選べるはずです。
税務は経営の根幹に関わりますから、創業期から専門家に相談することをお勧めします。
思い切った質問と、信頼できるパートナーの選定が何よりも肝心なのです。
国税庁のリンク!
法人設立に関連して、以下の国税庁の以下のページも併せてご確認ください。