合同会社のメリット・デメリットとは?株式会社との違いを解説
新規に会社を立ち上げる際、法人形態の選択は重要な判断材料となります。
一般的には合同会社か株式会社のいずれかを選ぶケースが多くなります。
他の法人格もありますが、新規設立の場合はメリットが少ないため、今回は合同会社と株式会社の特徴を中心に説明していきます。
合同会社の長所や短所、株式会社との違いをしっかりと把握することで、自身のビジネスプランに最適な法人形態を見極めることができます。
本記事では、メリット・デメリットを具体的に解説しながら、合同会社の実態に迫っていきます。
1. 合同会社とは
合同会社は、2006年の会社法改正で誕生した新しい法人形態です。
中小企業が選びやすい点から、近年設立数が増加しており、有名企業でも合同会社を選んでいる例があります。
(アマゾンジャパン合同会社やApple Japan 合同会社、グーグル合同会社は有名ですね)
2. 合同会社のメリット
合同会社のメリットは大きく以下の3点です。
低コストで設立可能
- 設立登記費用が約6万円と株式会社(約20万円)より安価
- 役員任期更新、決算公告が不要でランニングコストも抑えられる
手続き簡便
- 定款の作成が株式会社より簡単
- オンラインで設立手続きが可能
柔軟性
- 定款の自由設計が可能で運営の自由度が高い
- 将来的に株式会社への組織変更が可能
3. 合同会社のデメリット
合同会社のデメリットは大きく以下の2点です。
信用力の課題
- 社会的認知度が株式会社に比べ低い
- 取引先などから「合同会社」と見られにくい側面あり
事業分野の制限
- B to B取引では合同会社形態が不向き
- B to Cビジネスが中心の業界向き
4. 合同会社と株式会社の主な違い
合同会社と株式会社の主な違いは以下の通りです。
項目 | 合同会社 | 株式会社 |
---|---|---|
設立費用 | 約6万円 | 約20万円 |
出資者と経営者 | 同一人物 | 別々でも可 |
無限責任の有無 | 出資額が限度 | 無限責任(例外あり) |
役員任期更新 | 不要 | 必要(原則2年/4年) |
決算公告 | 不要 | 必要 |
責任の範囲
会社への出資者は、自身の出資額を上限として責任を負うことになります。
株式会社であれば出資者は株主、合同会社であれば社員と呼ばれます。
つまり、出資額を上回る損失が生じても、返済義務はありません。
会社の債務を返済出来ないことが生じたとしても、出資者個人に無限の責任は及びません。
経営と出資の関係
株式会社では、資金を提供する出資者と実際に経営を執る役員は別々の人物でも構いません。
一方で、合同会社における出資者は、必ず経営に携わる立場となり、資金提供者と経営者の役割が一体化しているのが特徴です。
役員任期の有無
株式会社では、役員(取締役・監査役)の任期が法令で定められており、一定期間ごとに役員変更の有無にかかわらず役員登記が求められます。
原則として取締役2年、監査役4年ですが、最長10年まで任期を延長できます。
この手続きには費用と手間がかかります。
一方の合同会社では、こうした役員任期の制度がなく、任期の設定や更新手続きの必要はありません。
決算公告の義務化
株式会社は、毎期の決算内容を公告する義務があり、この公告には費用が発生します。合同会社にはこの決算公告義務がないため、株式会社に比べてコストを抑えられます。
5. まとめ
合同会社は、小規模・個人事業からスタート、BtoCビジネスが中心の業種において、合同会社の低コストメリットが活かせます。
- 飲食店、小売、サービス業
- フリーランス、個人事業主
- ベンチャー企業
規模拡大時に株式会社化を検討することで、メリットを最大化できます。
合同会社の特徴を踏まえ、業態や事業計画に合わせて法人形態を選択するのがベストでしょう。導入を検討の際は、専門家に相談されることをおすすめします。