【初心者必見】青色申告の特典と65万円控除の条件とは?
2023年に個人事業主としてスタートした方は、翌2024年3月15日が初めての所得税の確定申告期限でした。
初めての確定申告作業は不安も多かったことと思います。
おそらく開業時には「個人事業の開業届出書」と「所得税の青色申告承認申請書」の提出は済ませているはずです。青色申告を選択することで、様々な税制上の優遇措置を受けられます。
その中でも、大きなメリットが「青色申告特別控除」の適用です。この控除を受けることで、所得金額から一定額を差し引くことができ、最終的な納税額を圧縮できます。
個人事業主にとって、青色申告は大きな節税ポイントになり得ます。ただし、一定の帳簿書類の作成と保存が義務付けられるなどの条件もあるので、手続き面での負担にも留意が必要です。
1. 青色申告制度について
青色申告制度を簡潔にまとめると、
一定の帳簿を備え付け、帳簿に日々の取引を記帳し、その記録にもとづいて、正しい所得金額や税額を計算し、確定申告を実施し、納税する制度です。
具体的には、帳簿を適切に作成し、貸借対照表と損益計算書を作成するとともに、取引の裏付けとなる証拠書類(領収書や請求書など)を整備・保存しなければなりません。
こうした要件を満たせば、税制上の優遇措置が受けられるというシステムになっています。
納税者自身による適正な申告を促す目的から、手続き面での負担はありますが、優遇制度が設けられているのです。
給与所得者のように所得が事業活動に由来しない場合、年末調整で納税が完結します。
しかし、事業所得や不動産所得などがあれば、納税者自身が所得を計算し申告する必要があり、この制度を「申告納税制度」と呼びます。
2. 青色申告による優遇措置
青色申告を選択すると、様々な優遇措置が受けられます。
主な優遇措置は以下の通りです。
所得税の青色申告特別控除
事業所得などから一定額を控除できる大きな節税メリットです。控除額は所得金額によって異なります。
青色事業専従者給与の損金算入
家族従業員への給与支払いを一定額まで損金算入でき、所得から控除が可能です。
純損失の繰越し・繰戻し
事業赤字が出た場合、一定期間前後の所得との損益通算が認められます。
少額減価償却資産の即時償却
一定額以下の器具備品などを取得時に全額損金算入でき、節税が図れます。
このように、帳簿作成など手続き面での負担はあるものの、青色申告を選択すれば様々な面で税負担を軽減する措置が講じられています。
適切な申告と経理処理が重要になってきます。
3. 青色申告での特別控除
青色申告の多くの特典の中でも、特に大きな恩恵があるのが「青色申告特別控除」です。この制度を適用すると、事業所得から最大65万円を控除することができます。
所得金額は以下の計算式で算出されます。
【通常】
所得額 = 収入金額 - 必要経費
しかし、青色申告特別控除を受けると、
【青色申告特別控除適用時】
所得額 = (収入金額 - 必要経費) - 65万円
となり、所得金額自体が65万円分減額されます。
最低税率(所得税15%+住民税5%=20%)で計算すると、この控除により97,500円(65万円×20%)は確実に節税できる計算になります。
特に所得水準が低い場合、この控除は大きな節税効果をもたらします。
つまり、青色申告に移行し適切な経理処理を行えば、確実に大幅な節税が可能となる優遇制度なのです。
個人事業主にとって大きなメリットがあると言えるでしょう。
4. 青色申告での特別控除の注意点
青色申告特別控除については、一定の要件を満たさない場合には控除額が55万円に減額されることに注意が必要です。
控除額65万円を受けるためには、以下のいずれかの条件をクリアする必要があります。
- 電子帳簿保存法に準拠した電子帳簿の保存(一定の要件がある)
- e-Taxによる電子申告の実施
1の電子帳簿保存は、要件を満たすための準備作業が多く手間がかかる可能性があります。
詳細は、国税庁 優良な電子帳簿の要件をご参照ください。
一方、2のe-Taxでの電子申告は比較的簡単に条件を満たせます。マイナンバーカードとスマホさえあれば、国税庁の確定申告作成コーナーで電子申告の手続きができます。
サイトの指示に従いスマホでマイナンバーカードを読み込めば、あとは申告データの入力と送信を行えばOKです。
書面での申告を行う場合は、控除額が55万円に減額されてしまうので注意が必要です。
できる限りe-Taxでの電子申告を活用し、最大65万円の控除を確保することをおすすめします。
国税庁のリンク
青色申告に関して掲載されている国税庁のページも併せてご確認ください。