6月決算のメリット・デメリット|申告期限・納税スケジュールと向いている会社【法人の決算月】

6月決算は、3月決算の会社がひと段落した夏に決算・申告を迎えるため、税理士と相談する時間を確保しやすく、年明けから春にかけて本業が忙しい会社や、3月決算の取引先の動きを見てから自社の決算を締めたい会社に向いている決算月です。一方で、決算作業の時期が労働保険の年度更新・算定基礎届・夏季賞与・お盆と重なるため、夏場の事務負担には注意が必要です。

6月決算の基本スケジュール

6月決算の場合、事業年度・申告期限・中間申告期限は次のとおりです。

項目日付
事業年度7月1日〜6月30日
決算日6月30日
申告・納付期限8月31日
申告期限延長時の期限(1か月延長)9月30日
中間申告期限2月末日

申告期限の延長特例を受けても延長期間分には利子税がかかるため、納付は8月31日までに見込みで済ませるのが一般的です。期限が土日祝日にあたる年は翌開庁日が期限になります。

中間申告は、前期の法人税額をもとに計算した中間納付額(前期の法人税額の半額)が10万円を超える場合などに必要です。期首から6か月を経過した1月1日から2か月以内、つまり2月の末日(うるう年は2月29日)が期限になります。

6月決算の会社はどれくらいあるか

国税庁統計年報(令和6年度版)の「決算期別の普通法人数及び通算法人数」によると、6月決算の法人は291,067社で、全体(3,002,815社)の9.7%を占め、3月・9月・12月に次ぐ第4位です。3月決算からちょうど四半期ずれた決算月として、一定の会社に選ばれています。

出典:国税庁「統計年報 令和6年度版 4-2 法人数(1)決算期別の普通法人数及び通算法人数」

6月決算のメリット

税理士事務所の繁忙期を外れた時期に申告できる

6月決算の申告期限は8月末で、5月の3月決算法人の申告や、2〜3月の個人の確定申告といった税理士事務所の繁忙期から外れています。決算前の打ち合わせや節税の検討に時間をかけやすいのは、6月決算の大きな利点です。

年末年始・春先の事務と決算作業が分かれる

12〜1月の年末調整・法定調書・償却資産申告、2〜3月の確定申告とは決算の時期が離れています。冬から春にかけて本業や人事の事務が忙しい会社でも、決算作業を別の時期に回せます。

3月決算の取引先の動きを見て期末を迎えられる

取引先に3月決算の会社が多い場合、4月以降の新年度の発注状況や価格改定の動きを見たうえで、自社の期末の着地を判断できます。期末前の3か月で業績見込みを修正しやすいのが特徴です。

夏季賞与を期末の業績を見て決められる

6月〜7月に支給することが多い夏季賞与は、期末の業績がほぼ見えた段階で金額を検討できます。決算賞与として期末までに支給額を確定させるかどうかも、期末直前の数字をもとに判断しやすくなります。

6月決算のデメリット・注意点

決算作業が年度更新・算定基礎届と重なる

6月1日〜7月10日の労働保険の年度更新、7月1日〜7月10日の社会保険の算定基礎届、源泉所得税の納期の特例を受けている場合の7月10日の納付は、いずれも6月決算の決算整理の時期と重なります。経理と労務を同じ担当者が兼ねている会社では、7月上旬の負担がかなり大きくなります。

期末と夏季賞与の支給が重なる

6月は多くの会社で夏季賞与を支給する時期です。期末の資金繰りと賞与の支払い、さらに8月末の納税が近い時期に続くため、夏場の資金計画を早めに立てておく必要があります。

申告作業の期間にお盆休みがある

申告期限の8月31日の前にはお盆休みがあり、社内だけでなく取引先や金融機関も休業するところがあります。残高証明書や請求書の取り寄せが遅れると、8月後半に作業が集中しがちです。

中間申告が2月末で確定申告時期と重なる

中間申告の期限は2月末日で、個人の確定申告期間のさなかです。1月には年末調整の精算や法定調書・給与支払報告書・償却資産申告(1月31日)、源泉所得税の納期の特例分の納付(1月20日)もあり、仮決算で中間申告をする場合は年明けの事務がさらに増えます。

6月決算が向いている会社・業種

一般的な傾向として、次のような会社は6月決算との相性がよいといわれます。

  • 冬から春にかけて本業の繁忙期があり、夏は比較的落ち着いている会社
  • 3月決算の取引先が多く、新年度の発注状況を見てから自社の期末を迎えたい会社
  • 税理士とじっくり決算前の相談をしたい会社
  • 7月前後に設立し、1期目を長く取りたい会社

ただし、夏に本業が最も忙しくなる業種では、期末・決算作業・お盆が重なって負担が大きくなることがあります。社内の労務担当の体制とあわせて判断してください。

設立時に6月決算を選ぶ場合

1期目をできるだけ長くしたい場合は「設立月の前月を決算月にする」のが基本です。7月に設立して6月決算にすれば、1期目はほぼ12か月になります。

反対に、4月や5月に設立して6月決算にすると、1期目は2〜3か月程度です。設立直後に決算・申告を迎えることになるため、設立時期が春であれば、6月決算にするかどうか慎重に考えるとよいでしょう。

また、資本金1,000万円未満で設立した会社は、一定の要件のもとで設立当初の消費税が免税になる場合があり、1期目が長いほどその期間を生かせるといわれてきました。ただし、インボイス発行事業者として登録すると課税事業者として申告が必要になるため、免税のメリットは限定的になります。

6月決算の年間スケジュール例

月主な決算・税務・労務のイベント
7月期首。前期の決算整理(棚卸・残高確認)、年度更新・算定基礎届の提出(7月10日)、源泉所得税の納期の特例分の納付(7月10日)
8月お盆休み。前期分の法人税・消費税等の申告・納付(8月31日)
9月定時株主総会、延長特例を受けた場合の申告(9月30日)
10月第1四半期の業績確認
11月年末調整の準備
12月上半期末。冬季賞与、年末調整、年末年始休暇
1月下半期スタート。源泉所得税の納期の特例分の納付(1月20日)、法定調書・給与支払報告書・償却資産申告(1月31日)
2月中間申告・納付(2月末日)、個人の確定申告期間
3月代表者個人の確定申告、第3四半期の業績確認
4月期末見込みの作成、決算対策の検討
5月GW。決算対策の最終判断
6月決算日(6月30日)。棚卸・期末処理、労働保険の年度更新開始(6月1日)、夏季賞与

よくある質問

Q. 6月決算の中間申告の期限はいつですか?

A. 期首の7月1日から6か月を経過した1月1日から2か月以内、つまり2月の末日です。うるう年は2月29日になります。前期の法人税額をもとに計算した中間納付額(前期の法人税額の半額)が10万円以下なら、法人税の中間申告は不要です。

Q. 6月決算は労務の手続きと重なって大変ではありませんか?

A. 年度更新や算定基礎届は7月10日が期限のため、決算整理の時期と重なります。5月中に給与データや賃金総額の集計を進めておき、決算作業と労務手続きの担当や日程を分けておくと負担を抑えられます。

Q. 3月決算から6月決算に変えると何が変わりますか?

A. 申告の時期が5月から8月に移り、税理士事務所の繁忙期を避けやすくなります。一方、決算作業が夏の労務手続きやお盆と重なるようになります。変更年度は事業年度が短くなるため、手続きとあわせて事前に確認しておきましょう。

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